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新しいレントゲン設備

開業とともに約10年以上使用してきたレントゲン照射装置を更新いたしました。

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今回更新した設備は下の写真の中央のレントゲン(エックス線)照射装置と付属する撮影台です。テーブルの下には写真では見えませんが、X線エックス線)を検出してデジタル画像データに変換する フラットパネル検出器(FPD)が設置されています。

近年のレントゲン装置はこのように「照射装置」と「X線検出器」の2つのシステムから構成されています。今回、このブログでご紹介させて頂くのは、このX線照射装置で、この装置は撮影のための光源となるX線を発生・照射する役割を担います。

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PETMATE SXA-10S( 島津メディカルシステムズ )
>このレントゲン装置について

X線照射装置はその進歩に伴って、根本的なしくみが大幅に変わる機器ではありませんが、近年では「撮影に最適な性質を持つX線」を「より高出力」で「より短時間」に照射するための技術的な向上が積み重ねられています。

X線照射機の進歩はまた、「動物の大きさや種類ごとの撮影条件の自動化」や「動物医療に最適な操作環境の改善」にも及んでおります。動物病院特有の作業の煩雑さをより少ない方向へ、レントゲン検査のデジタル化と並行して動物達への負担軽減と時代が求めるより一層の低被爆化も進んで参りました。

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ここで、ちょっと脱線しますが、レントゲン検査の進歩のもうひとつの柱といえるのがX線を検出するためのイメージングプレート(第一世代のCRレントゲン)やフラットパネル検出器(次世代のDRレントゲン)と呼ばれるX線検出装置です。
これらは得られた画像情報をデジタル処理する仕組みの中心的役割を担い、まさにレントゲン検査の”デジタル化を象徴する装置”となっています。

デジタル化以前のフィルムによるレントゲン検査は、撮影の度に”光に弱い”レントゲンフィルムを真っ暗な暗室の中で手探りで準備して、撮影後にまた暗室に戻って現像するという、手順を要する面倒な作業でした。
また、現像に熟練を要する部分が多く、画像の品質も必ずしも一定しませんでした。

レントゲン検査の進歩は、「フィルムカメラ」が「初期のデジタルカメラ」(CRレントゲンに相当)に進化してフィルムを現像するという概念がなくなり、さらに「連続撮影・通信機能付きの高画質のデジカメ」(DRレントゲンに相当)になってきた、というカメラの進化に置き換えると理解しやすいかもしれません。

フラットパネル検出器では、レントゲン写真は撮影された直後にディスプレイに表示されるため、デジタル第一世代のCRよりも手順が少なく、より速やかに高画質な画像による診断を行うことができます。

当院ではフラットパネルによる最新のDRシステムX線照射装置に先立って済ませたばかりですが、この話題はまた次のブログでご紹介いたします。

>レントゲン検査のデジタル革命とは?

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次に、レントゲン検査の原理やその仕組みをご説明したいと思います。

レントゲン検査X線(エックス線)を光源にしたレントゲン写真による画像検査のひとつで、医療における検査手段としてなくてはならないものです。

X線とは強いエネルギーを持つ肉眼ではとらえられない”光”の一種であり、”放射線”に分類されます。
つまり、体の組織をいとも簡単に通り抜けてしまう能力を持っており、その性質を利用して肉眼では見ることができない体内の様子をレントゲン写真として映し出すことができます

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X線は体を簡単に透過できますが、その「内部構造」によって、さまざまな割合で吸収されます。例えば、のように固い部分はX線を吸収しやすくほとんどX線を通しません。一方で、脂肪筋肉組織などの水分の多い軟らかい部分や液体などは一部が吸収されて透過しますが、空気が多い肺などの臓器であれば、ほとんど吸収されずに通してしまいます。
さらにX線が吸収(透過)される度合いは、そこにある異常の有無でも異なってきます。つまりその違いが異常なレントゲン画像として検出されるのです。

レントゲン写真では体を通り抜けたX線が体の中の構造によって様々なパターンで吸収され、X線が多く透過した部分はより”黒く”、透過しにくい部分はより”白く”写ります。明るさを白から黒の濃淡として表現する「白黒写真」をイメージしていただくとイメージしやすいかもしれません。
レントゲン検査というのは白黒画像として作られた、濃淡の微妙な差や変化を臓器や「内部構造」の異常としてとらえて診断につなげる作業なのです。
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ここで、ちょっと脱線してレントゲン検査の歴史はどんなものであったのか紐解いてみましょう。

X線は、1895年にドイツの物理学者であるヴィルヘルム・コンラート・レントゲン博士(下写真)によって発見され、博士はこの功績により1901年に第一回ノーベル物理学賞を受賞しています。
つまり、X線の発見はまさに大発見であったというわけです。

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クルックス管と呼ばれる初期の真空管を使って、とある実験をしていたレントゲン博士は、一定の条件の下で、その真空管から物体を透過する能力のある、”未知の光のようなもの”が放出されることを偶然に発見しました。
不思議なことに、その強い”謎の光”は目に見えないばかりか、分厚い本や厚いガラスさえも通り抜けたそうです。

レントゲン博士はそのよく分からないに、数学での未知を表す””から意を得て、X線エックス線)と名付けました。このX線には強い物質透過性があることから、その証拠として自身のアンナ・ベルタ夫人の手を写真乾板の上に置き、放電管からのX線を15分間も!照射したところ、手の骨と結婚指輪だけの写真が撮れました。
これが有名な「115年前」の世界初のレントゲン写真として現代に残っています。(下写真)

夫人はこの写真を見たとき、「自分の死体を見た気分だわ!」と叫んだという逸話があるとか。
写真の薬指にある黒い塊は金の指輪です。金属はX線を強く吸収して透過させないために写真の上では黒く見えており、現在見慣れているレントゲン画像と比べると、白黒逆転した「反転画像」になっているのが分かります。

最初のレントゲン写真.JPG

現在の最新のレントゲン写真と比較してみると100年以上の技術の進歩は偉大ですね。

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X線の発見によって、人体にメスを入れることなく人体の内部が観察できるという驚きの事実は、誰もが分かりやすくインパクトのあるレントゲン写真という衝撃的な画像と共に、ヨーロッパ域内だけではなく海外にも広く駆け巡りました。

発見から3か月後には日本国内でも紹介され、翌年1896年には、X線の研究に着手していた島津源蔵氏(2代目)が手のX線写真撮影に成功し、その翌年には教育用のX線装置が商品化され、その後の同社での1909年の国内初の医療用レントゲン装置の発売につながります。

ちなみに初代、島津源蔵氏の父親(一代目)が1875年に創業したのが、かの島津製作所だそうです。
この会社は世間一般での知名度こそ低いのですが、理系学部卒にはお馴染みの計測器メーカーであり、精密機器、医療機器、航空機器など目立たないけれども重要な分野を手掛けています。

また、医療用レントゲン装置の開発だけではなく、レントゲン検査のデジタル化の根幹となるX線フラットパネル検出器(FPD)や、科学分野でなくてはならない電子顕微鏡や微量分析器のガスクロマトグラフなど多くの機器を開発しています。
つまり、島津製作所はその歴史の長さに加えて、世間一般の目には触れないものの、今やそれなしでは世の中が非常に困る機器を開発、商品化し続けて来た企業でもあります。

最近では、”現役サラリーマン初”のノーベル賞(化学賞)を受賞した、田中耕一氏が島津製作所の研究者であったことも世の中の話題となったことも記憶に新しいのではないでしょうか。
また、創業者が薩摩の島津家とも関わっているとかいないとか。諸説あるようですが、調べてみると歴史の一部にもつながっているようで、とても興味深いものですね。

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>島津製作所の沿革はこちらのリンク

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最後にまとめです。

当院で今回導入したレントゲン装置は冒頭にご紹介いたしましたように、島津メディカルシステムズが取り扱う動物病院仕様の最新の製品です。

レントゲン検査の歴史を紐解くうちに、ひとつの医療機器を通じて国内におけるレントゲン装置の黎明期から、さらにはレントゲン博士によるX線の発見の歴史に連なる100年超の年月の積み重ねに思いを馳せられるという、得難い体験ができたことに感謝したいと思います。

100年前には想像さえできない程の高品質なレントゲン撮影がいとも簡単にできるようになった時代に感謝をしつつ、この新しいレントゲン装置を日々訪れる小さな患者さんたちの役に立てるべく、精一杯努力したいと改めて感じます。

だいぶ話がそれてしまいました。。。長文をお読みいただきありがとうございました。

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文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍

 

自動分包機について

自動分包機というものをご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?

自動分包機とはざっくりいうと、錠剤粉薬などを服薬のパターンに沿って自動的に薬袋に袋詰めしてくれる装置のことを指します。調剤薬局などの施設には必須な装置であり、院内調剤を行う動物病院でもそれは同様です。

病院でもらった処方箋をもって街の調剤薬局を訪れると、カウンターの向こう側で、下の写真のような装置で薬剤師さんが調剤しているところを見かけることも多いかもしれません。

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動物病院で使われるような「自動分包機」は正しくは、そのほとんどが自動分割分包機といわれる機器のことで、小規模な薬局などを対象とするエントリークラスの製品です。
例えば、おびただしい件数の調剤を行うような病院や規模の大きな調剤薬局では、複雑な作業が自動化されたロボットのような自動分包機も使用されています。

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ところで、動物病院では人間の医療機関でおなじみとなっている医薬分業は行われておりません。は院内で調剤されて患者さんに受け渡されるため、その比率では人の診療所を大きく上回る自動分包機が稼働しているのと思われます。
人間の医療機関、特に街の診療所では今や調剤を行わず、処方箋をもらって調剤薬局へというやり方がほとんどなのとは対照的です。

余談ですが、世の中は医薬分業なのになぜ動物病院院外処方しないの?と、患者さんとしていらした薬剤師さんなどから聞かれることがあります。
実は法律の上では獣医師調剤薬局薬剤師処方箋(せん)を書くことができるのですが、それに対応するコストと手間の問題により動物病院からのオーダーを受け付けていないというのが実際のようです。

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ここで、自動分包機が扱う内服薬にはどういった種類があるのかをまとめてみましょう。
一般的にクスリと聞くと、飲み薬をイメージする方が圧倒的と思われますが、飲み薬、すなわち「内服薬」はその”かたち”から錠剤カプセル剤散剤・顆粒剤内服液剤・シロップ剤などに分類されます。

内服薬剤型によるそれぞれの特徴は以下の通りです。(ご参考までに。。。)

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〇錠剤:クスリの成分を錠剤の形に加工して固めた薬です。
そのまま固めた「素錠」の飲み難さや吸収の改善を目的として、表面をさまざまな成分で覆った錠剤を「コーティング錠」といいます。糖分でコーティングした「糖衣錠」、薄い膜でコートした「フィルムコーティング錠」、この中には胃で溶けないで腸で吸収される腸溶剤などが含まれます。
また、最近では唾液で溶けるように作られた「口腔内崩壊錠OD錠)」が普及してきました。

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〇カプセル錠消化管内で溶けるゼラチンなどで作ったカプセルの中に薬剤がはいっている薬です。カプセルに入れることで飲みやすくしたり、薬を吸収させたい場所まで効率よく運ぶことができます。
カプセルの中身は顆粒散薬(粉薬)だけではなく、液体が入っていることもあります。

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〇散剤・顆粒剤散剤は”粉末状”、顆粒剤は”小さな粒状”の薬です。

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〇内服液剤・シロップ剤内服液剤は薬の成分を水などの液体に溶かして作られた薬です。
シロップ剤はそれに甘みを加えて飲みやすくしたものです。顆粒剤に似ていますが、飲む前に水に溶かして服用するドライシロップ剤があります。

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一般的な自動分包機が扱うことのできる薬剤錠剤カプセル剤散剤・顆粒剤・ドライシロップ剤などです。

実は、こうした多種多様なや組み合わせを、様々な”飲み方”や”飲む日数”で正確に分けて、それを一つ一つ袋詰めにするという手作業にはかなりの労力と時間が必要なのです。加えて、ミスも発生しやすい。

例えば、”3グラムの粉薬を一日2回の服用で二週間分に分ける場合”はどうでしょう?
3グラムの薬をきっちり14分割(1個当たり0.214グラム)して、それぞれ14枚の”分包紙”に入れて折り紙のようにひとつずつ折込む作業です。

このような手作業を様々な服薬のパターンで、正確に幾度なく行うことを想像できますでしょうか。。。

数十年前の自動分包機がまだ普及する以前は、手作業で調剤を行っていた薬剤師さんたちには多くの苦労があったようです。

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このように、自動分包機の大きな役割はを一袋ずつ均等に分けるという手作業による調剤で発生する問題をなくして、大幅な省力化に貢献してくれることです。
つまり、調剤業務の縁の下の力持ちであり、人の薬局は言うに及ばず動物病院でも今やなくてはならない機器なのです。

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当院には現在、既に2台の自動分包機が稼働していますが、薬を受け取るまでの待ち時間の短縮と、調剤のために駆り出される獣医師などの作業量軽減ために、さらに3台目となる自動分包機を導入致しました。
今回、新規に導入した機器は湯山製作所YS-Mini-R45 という機種です。(下写真)

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この自動分包機の最大といえる特長は、従来の均等に薬剤を袋詰めにする機能に加えて散薬(粉薬)を機械に投入するだけで”分割と分包”を同時に行える全自動散薬分包機であることです。
お読みの方には、それって何の違いがあるの???と思われるかもしれません。

実は動物病院では”人間用の錠剤を砕いた粉薬”、としたもの、体が小さいための”とても少ない粉薬”、飲ませ易くするために”何種類も混合した粉薬”などのためにの本来のパッケージを崩して、割ったり、粉にして調剤するパターンがとても多いのです。

動物病院で行われる調剤の特徴は、あえて言うならば人間の小児科に比較的近いかもしれません。ただし、動物医療の特徴から調剤のパターンはより複雑になります。
その理由とは、”より多種多様な薬”を使用すること、”より少ない調剤の難しい量”であること、小さいながら数倍~20倍以上の”患者さん毎の体重差があることです。

特に問題となるのは以下の点です。
つまり、従来の自動分包機自動分割分包機)では調剤することの多い粉薬を自動的に分けることができないということです。

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このため、あらかじめ粉薬を機械が均一に分割できるように装置の”Vマス”という粉薬を投入する”溝”に沿って丁寧に粉薬を均す作業が必要になるのですが、これが手作業なのです。
つまり、極めて少なかったり、体重ごとの様々な薬の量や粉薬ごとの性質の違い、またその混合物の扱いを熟練スタッフの”技と勘”に頼るような、いわば”半自動分包機”と言わんばかりの手間がかかります。

かといって、動物医療に従事する専業の薬剤師さんはまずお目にかかりませんし、調剤薬局院外処方するわけにもいきませんから、少しでも労力を軽くというのが動物病院共通の課題なのです。

以上が、動物病院でなぜ粉薬を自動的に分割できる装置が必要とされているのか、ということの答えでしょうか。

ところが、こうした機能を持つ自動分包機は今までは大型でコストの高い装置でしかありませんでしたが、製品の改良による小型化が進んだ結果、ようやく動物病院が導入できるようレベルになって参りました。

こうしたメーカーの開発力と技術力に感謝したいと思います。

全自動散薬分包機2.JPG
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文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍

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